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2010/10/04 (月)

a la reine des abeills

【ア・ラ・レーヌ・デ・ザベイユ】
麗しき蜜蜂の女王に捧ぐ、
蜜色の香りが御目見え致しました。

甘い甘い蜂蜜に、すっと気高い檸檬の香り。
とろりとろけた蜜のごとく、つるりきらりとなめらかな、女王の為の香水瓶。
蜜蜂の翅飾り付き。
マドモアゼルにマダムにムシュウ。麗しき貴女様と貴方様。
蜜蜂の女王。彼女を愛でる、どなた様でも。
霧ともなく空気ともなく。秋の装いの仕上げに、隠し味のごとく。お纏い下さい。

ハロウィンの良き日も近く、金木犀の香りも甘く。
宜しければオレガノの看板を目印に、足をお運び下さいませ。
ご来店、心よりお待ち致しております。


(あまいかおりとにがいかおりとその記憶)
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2010/03/15 (月)

旧ルチアノ伯爵邸


お屋敷、旅団登録をお願いしてきた。
旅団というより、家、だけど。
暫くは、ひたすらひっそりする予定。
……それにしても、贅沢だよな。
昔はハンモックの中だけが、贅沢な城だったのに。
今じゃこんなに広いお化け屋敷が、めろの城だ。
おんぼろだけど、それ以前に、立派なお屋敷、なんだから
豪華であるには、変わらない。

…嬉しい、な。うん。嬉しい。とても。
2010/03/10 (水)

鳥籠の箱庭

子供部屋って、幸福な場所だと思う。

毛足の長いカーペットも、天蓋付きのベッドも、部屋を囲むペールブルーの壁紙も、
纏う記憶も、孕む空気も、みんな。
暖かくて柔らかくて、鋭い物は、何も無い。
部屋全体が子供を目一杯愛でて守っています、っていう雰囲気。
まるで鳥籠の中みたいだなんて思うめろは、言わずもがな捻くれ者だよな。

……嗚呼、どうにもここは息が詰まる。可愛らしすぎるんだ。それがいけない。
随分と昔に役目を終えた場所のようだけど…。
だって、ほら。ご覧。この部屋の物、少しも持ち出そうとした形跡が無い。
引っ越しに連れて行ってもらえなかったんだな。
玩具も絵本も、幾つも置いたままだ。
本棚を覗いて見たらさ、星を巡る話だとか、魔女から手紙が来る話だとか、
なかなか素敵な物が有ったのだけど、どれも埃っぽくて、カビ臭い。
どなたも読まなくなって久しい様子。 …今度、絵本も、軽く虫干ししておくよ。

……そうだ。見たかい。
木蓮が、咲きそうだった。もうじき、春なんだな。
通りの木蓮が全部咲くほど暖かくなったら、めろはここに引っ越ししようと思う。
そしたら、逢う魔ヶ時だからって、急いで帰らなくっても大丈夫。
何時でも遊びにおいで。
このお屋敷の不気味なもの、たくさん。お目にかけたいと思うんだ。
2010/02/24 (水)

亡き王者達の回廊

凄いの、見た。
ハンティングトロフィーというのだっけ。あればっかり、飾って有る回廊。

狩った動物の頭部だけを飾っておくって、本当に有るんだな。本物、初めて見た。
生きている内はさぞ美しい姿だったんだろうに。
雄大な角も麗しい鬣も、今じゃすっかり埃を被って薄汚れてる。

だから、今日はずっとあの場所の掃除をしてた。
手入れの仕方なんて知らないけど。
昔、相棒にしていた手順を踏んで、埃を落として毛を梳く内に、
段々と愛着が湧いてきてさ、終いには彼等が未だ生きてるように思えたりして。
あの、嘗ての王者達は一体どんな世界を見ていたんだろうな。
硝子の目玉を覗き込んでも何も見えやしないけど。
だけど、ねえ。
あれが、みんな、夜中に言葉を交わしていたら面白いと思わない。
そしたらめろも、是非とも会話に混ぜていただくのに。……嘘だよ。ただの戯れ。

そうだ。報告。
このお屋敷、めろが貰う事にした。
葡萄茶天鵞絨の椅子だけじゃなくて、このお屋敷、全部。
誰も構いやしないだろう。例え構ったとしても、返さないけど。
住めるようになるくらい綺麗に掃除するから、そしたら、茶会でも開こう。
青天井の中庭も有る。
枯れているけど、飾りにするだけでも充分の、半分崩れた白い彫像が目印。
あそこに机と椅子を引っ張り出してさ。めろが紅茶を淹れるから。
茶菓子の準備はお任せするよ。小さくて見目麗しいやつが良い。

……そういえば。掃除の邪魔になるからって脱いでた気に入りのピンヒール、
何処に置いておいたかな。いい加減、足が冷たい。
…………。
君、道理で何時もより小さいと思ったって、顔に書いて有る。
嘘だよ、嘘。冗談だ。
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