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2012/07/10 (火)

Aの花束

(サーカスの頃からの昔馴染みの仕立屋さん。会話ばっかり)
(白いワンピースドレスを発注した日)

(この色がメロルーシャ)


アクスヘイム。昔馴染みの仕立屋。
舞台衣装を仕立てて貰うのは何時もこの店で、

「あのね、友達の誕生日。しかも、20番目のだよ。
いつもより、すごく、すごく、特別なんだ。

真っ白ですてきなリボン。これを、こう、胸の所に。
それで、生地は薔薇の柄。
花束みたいに絢爛なものはある?薔薇の花束柄が良い。
首は詰まり過ぎないで、でも、デコルテのところ、
開き過ぎも宜しくないな。
スカートはウエストで絞ってふわッて広がる感じ。
長さは膝ぐらいで、横に広がり過ぎないようにお願い。
可愛いだけで動き辛いのは駄目だから。
動き易さも、大事にしてね。よく動く子なんだ。
普段着として着るのでも、大丈夫なようにして。
でも、リボンもレースもブレードも惜しみ無く。
可愛くて、動き易くて、お姫様みたいなやつ。お願い。一等すてきなやつを。」


「久し振りに顔を出したと思ったら
一丁前に我儘なお客様ねえ。メロルーシャ。
うふふ。勿論、承るわ。任せて頂戴。
かわいいかわいいつのっ子ちゃんの注文だもの
とびきり素敵に仕上げてあげる。

……昔は、どんなのが良いか聞いても
『きらきら』とか『ふわふわ』とか、
『ぴかぴか』くらいにしか答えられなかったものねえ。
それがこんなにたくさん言葉を覚えて。
とても同じおちびちゃんとは思えないわ。大きくなった事」


「おい。それって一番最初の頃でしょう。
10年以上前じゃん。そんなガキの頃と比べないで。
大昔の話するとか、何処のババァだよ。」


「つのっ子ちゃん、口悪いのは相変わらずねえ。
……で。誰がババァですって。」


「 ! いたい、いたい。いひゃい!
顔、ひっぱるな。誰もあんたの事とは言ってないだろ!」


「あーら。そうかしら。乙女心を傷つけられたわ。
ついでに、このままちゅーしちゃおうかしら。」


「何のついでだ。意味分かん無ェし。
ほんと、やめて。ほんと、きしょくわるい。
きもちわるい。きもい。きもい。きもい。キモイ」


「(きもちわるいと連呼され、ほんの僅か傷ついた顔)
……いやあね。冗談よ。団長さんに殴られるわね、やめとくわ」


「何で親父が出てくる。言っとくけど、おれの方が容赦なく殴るよ」


懐かしい話と冒険の話。
納品までの日取りとその他諸々。相談も済んで帰る間際に。

「ところで。メロルーシャ。
あなたからの赤い衣装の発注は、何時になったら入るのかしら。
あなたに作ってあげた一番新しいコ、
あのコはわたしも気に入りなのに、一度くらいしか着れていないのでしょ。
……可哀想に。もっと着て欲しかったでしょうね。
“猛獣使いちゃん”にぴったり似合うように作ったんですもの。」


「……あれは、」

(一瞬言い澱んで外した視線。元に戻すと、真っ直ぐに目を見返して)
(感情の滲まない低い声音でぽつりと呟き)
「あるよ。なくなってない。でも、取られた。ガキだ。赤い、小娘の。」

子供。赤い少女。

「……メロルーシャ。あなた。

自分よりちっちゃい女の子に身ぐるみはがされたの?
それとも脱がされたの?嗚呼、わたしたちの、つのっ子ちゃん…」


(きもちわるいものを見るときと同じような目)
「あんたの頭が大丈夫か。脳みそン中、腐ってるんじゃない。」
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