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2013/08/31 (土)

三日月の湖畔

(ふたり)
(“赤い子”のこと)






「ぼく、ブーステッドのこと、初めてちゃんと聞いた。
ねえ、あの頃のアクスヘイム、大変だったんだろ。」

「うん?そうだねェ。御存知の通り。……って。ちょっと、嫌だなァ、泣くなよ。」

ぱたぱた、と、涙をこぼす少年を見て、角の娘は困ったように呟いた。

「だって…だってさあ、赤い女の子が居なかったら、死んでしまったかもしれないってことだろ。
…あのころ、父さんは街に戻るなって言うし、戻ったら戻ったで、色々無くなってて、
それに、メルちゃんだって…」

だって、と、泣きながら語り出す事も、不細工な泣き顔も、
二人で遊びまわった幼い頃と変わらない。

自分が苛められても泣かない癖に、誰かが怪我をするとそれを見て泣く。
余り感情表現が得意で無かった娘の代わりに
よく泣いて、よく笑って、よく怒る。
泣き虫で優しい子。

角の娘はたまらなく懐かしい気持ちになって、少年の頭に手を伸ばした。
子犬でも撫でる様にやわらかく手を動かした後、
手のひらをぐっと丸め、彼の頭目掛けて振り下ろした。

ゴツン。痛い音。

「……グーウザイ。そろそろお黙り。」

「ワッ! な、なんだよ!急に!」

「ウジウジウジウジしやがって、ウジ虫じゃねえんだからさ、シャキンとしてよね。
あんまり煩いとお前のこと明日からウジ太郎って呼ぶよ。」

「なんだよ! そんな言い方ないだろ。ウジ太郎って何だ! やめろ!
あなたにはデリカシーってものがないのか!」

顔を赤くして叫ぶ少年を挑発するよう鼻を鳴らして、
角の娘は、にんまりと、人の悪い笑みを浮かべた。

「図体ばかりでかいグーチャンと違って、メロルーシャは頑丈なんでね。細けェ事は気にしねえの。」

「……」

「お前、泣くと死ぬ程不細工だしね。それなら、笑ってなさい。
…お前の親父さんはエンドブレイカーでしょ、団長とも友達だ。
だから、多分、色々知ってる。今度、話、聞いてご覧。」

聞ける内にね、と。





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