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2013/10/06 (日)

きみの生まれる前のおはなし

(17年くらい前。弟分が生まれる前の、平和なある日)
(メロルーシャ視点。弟分の御父さんとの会話)

(弟分誕生日に間に会うように準備していたつもりが、そうはいかなった。。)






狩りのオヤジさんは、大きい山みたいなひとだ。

団長の古い友人で、兄弟みたいに仲が良い。
熊みたいに大きくて、猛禽みたいに鋭い目をした、砂地の狩猟者。

機敏な動作も相まって、まるで野性の動物みたいな雰囲気。
初めて会った時、メロルーシャは脅えて団長のうしろから出てこなかったらしい。

けれど、うしろ側から見ている内に、
鋭い目が優しいことや、とても陽気に笑うことが分かって、すぐに懐いた。

うつくしいファルコンを、気前よくメロルーシャの肩に乗せてくれたし、
凛々しいコヨーテの背に乗せてもくれた。
(スピリットを頂戴とねだってみたが、さすがにそれは笑って却下をされた)

砂地に暮らすオヤジさんが斧都のサーカスに顔を出すのは年に数度のことだったけど、
お土産でくれる美味しい木の実や、ふしぎなかたちの石はどれも嬉しいものだったし、
砂地の話を聞くのが何より好きで、スピリット達と会えるのも嬉しかった。

幼いメロルーシャは、オヤジさんの姿を見ると、
いつまでも子犬のようにまとわりついて離れなかったらしい。
自分よりあいつの方が良いのかと、複雑な顔をして団長が時々呟くものだから
それもそれで、面白かったのだ。

サーカスの皆も、町の人々も、オヤジさんは皆と仲が良く、慕われていた。
狩りのオヤジさんは、よく笑う、太陽みたいなにおいがする人だ。





冬の始まりかけのある日。
狩りのオヤジさんがサーカスにやってきて、
お土産話もそこそこに、団長のテントにこもり、二人で何やら話し込んでいた。

中に入れて貰えなかったメロルーシャは、外で大人しく待ちぼうけしていたものの
だんだんと飽きて来て、しまいには団長のテントの傍でうとうとと眠り込んでしまった。

だから、いつの間にか二人の話が終わったことも、
オヤジさんの大きな手で抱きあげられていたことも気付かなかった。

ゆらりと揺さぶられた心地よさに
ぼんやりと目を開けると、見なれたにこにこ顔があった。


「よう、メロルーシャ。こんな所で寝てると風邪ひくぞ」

「オヤジさん、やっほ。……だんちょとなんのはなし? 恋バナ?」

「残念ながら恋バナじゃなかったなあ。お前の自慢話を延々と聞かされたよ。
色々な芸が出来るようになったんだって? 凄いなあ、メロルーシャ。」

「えへへ、へ」

褒められると嬉しい。
それがオヤジさんからだと、もっと嬉しい。

嬉しそうに笑う娘を、優しく地面におろすと、
わさわさと頭を撫でて、いい香りのするお土産の包みを手渡した。
二人は並んで座りこみ、お土産話を交換しあった。

外の家族のこと、砂の家族のこと、奥さんのこと、
今年生まれた動物のこと。
最近出来るようになった芸のこと、お気に入りのお菓子のこと、
団長のこと、サーカスのこと。
ぽつぽつと順番こに話し合い、お互いの暮らしぶりを想い、再会を喜んだ。

ひとしきり話した後、話し疲れたメロルーシャは、先ほどお土産に貰った
甘い木の実を練り込んだパンをもぐもぐほおばり始めた。食いしん坊なのだ。
オヤジさんは、星霊建築のお空を暫く眺めながら、愛用煙草の煙を吐き出すと、
先ほどまでとは、少し違った真剣な様子で言った。

「ところでな、メロルーシャよ。来年、赤ん坊が生まれるんだ。」

「赤ん坊! すごいね、めでたいね、お祝いしなきゃ。」

「ありがとう。……そのことなんだが、赤ん坊がお前さんと同じくらいの歳になったら、
街の暮らしも覚えさせなきゃならん。団長にも頼んだんだが、ここで街の事を勉強させてやって欲しいんだ。
なあ、メロルーシャ、その時、面倒見てやってくれないかな。」

「! うん。良いよ。良いよ。良いよ!
メロルーシャがお姉ちゃんになってあげるよ。
女の子なら、たくさん可愛くなるように。男の子なら、たくさん鍛えてあげるんだ。」

嬉しそうに目を輝かせた娘の様子を見て、安心したようにオヤジさんは微笑んだ。
水臭いことだが、断られたらどうしようかと思っていたのかもしれない。

「男の子だったら怒る時に殴って良いからな。」

「んん? いたくするのはいやだよ。うちはホメテノバスシュギだもん。だんちょうが言うでしょ。」

「ああ、すまんすまん。怒るなって。別に頭ごなしにブン殴れって事じゃなくてな。
愛の鞭だ。怒る時は愛を以ってゴツンとやってくれって事だ。」

「……あいのむち。分かった。悪い子したらごつんとやるよ。
オヤジさん、赤ちゃんのなまえは。決まってる?」

「お、良いところに気付いたな。実はもう決めてある。」


グードゥ


(ずっと楽しみにしてたんだ)
(会いたかった)



*人補足*
狩りのオヤジさん:グードゥの実父
だんちょう:サーカスの団長、メロルーシャの養父
※オヤジさんのゴーサインが出ているので、メロルーシャは弟分にはすぐに手が出る。
鬼お姉ちゃん、愛のあるぶん殴り。
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