--/--/-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2014/12/20 (土)

名前もつけない愛のうた

■名前もつけない愛のうた



「♪、♪♪、♪、ラン、ラララ、ラン、」



いつも自然に口ずさむ、ご機嫌なメロディ
メロルーシャの鼻歌

一等馴染みのフレーズをいつも無意識に歌っていたものだから
或る時、平和な顔した弟分が《メロルーシャの鼻歌、しかも続き》を紡いだこと
ツノの娘は、あんまり吃驚して間抜けな顔をしてしまった

「懐かしいなあ!メルちゃん良く覚えているねえ」

「……お前、グー。それ、歌、何で知ってるの」

「何でって。これってサーカスの大人達がよく歌っていたやつでしょう。それゃあ知ってるよ!
確か、ディア・サーカスから始まる歌詞だよね」

今の今まですっかり忘れて居たけど、と笑う弟分のイキイキした顔を見て、
こいつが幼い頃は楽師兼道化師で、少し前まで魔曲使いだった事を思い出す
(因みに、狩りの家族はみんながみんな常に楽器を携えていたので、どうやら元々音好きな一族らしい)

弟分の手拍子と共になめらかに紡がれる歌は
曖昧な鼻歌より随分確かで鮮明で、目の前に去来するのは幼い何時か

そうだ、この《ディア・サーカス》から始まるご機嫌なメロディは
馴染みのワンフレーズよりもずっとずっと長い続きが有って、きちんとした歌詞が有って、大勢に歌われ、愛された

ショウの成功を喜び、労をねぎらい、夜の帳を分かち合う
自分の歌で、好きな楽器で、お疲れ様、閉幕を
大事で大事で、大好きな歌
こんなに大切なもの、常に傍にありながら、どうして今まで忘れていた

「確か作詞作曲は団長お父さんだよね。
……って。あ、れ。どうしたの、泣いてる?!お、お、おなかでも痛いの?
イ、イタイノ、イタイノイタイノトンデケーーー!!!!」

「………狼狽え過ぎだ」


頭の中のとびきり大事な引き出しの中へ
メロルーシャが覚えた芸をひとつひとつ仕舞ってきたように
グードゥは音をたくさん仕舞ってきたんだろう

耳からの記憶は身体の真ん中に染み込むようで、思い出引き出す鍵になる
嗚呼、これはズルイな羨ましいことだなあ

おれがすいすい綱渡りを出来たように
お前は音をすいすい奏でたね

ひとつ、ひとつ、思い出すこと

お気に入りの鼻歌は、ワンフレーズよりも長くなった
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。